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運送事業の働き方改革!!

 トラック運賃の値上げの要因とされるのは、ドライバー不足のための人件費の高騰、更に国土交通省から「自動車運送事業の働き方改革」の実行計画から労働時間の短縮強化が加わったとされています。

 

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 では、自動車運転業務の現状はどういったものであるのか?

国土交通省自動車局の「自動車運送事業の働き方改革に向けて現状と課題」(平成29年6月)の資料によると、

労働時間:

- 平均労働時間は、全職業平均と比較して約1−2割長い。

- 平均所定外労働時間は、全職業平均の約2−3倍の長さ。

- 週間就業時間が60時間を超える者(月80時間の時間外労働時間に相当)の割合は約4割であり、全職業平均の約3倍。

 

賃金:

- 年間賃金は、労働時間が長いにも関わらず、全職業平均と比較して約1−3割低い。

運転者不足:

- 有効求人倍率は全職業平均の約2倍。人手不足が年々深刻化。

- 女性比率は全職業平均の1割未満と低い。

- 平均年齢は、全職業平均と比較して、約3−17歳高い。

 

 「働き方改革実行計画」が策定され(平成29年3月28日)、長時間労働の是正を図る観点から、時間外労働について罰則付きの上限規制が導入されることとなり、自動車の運転業務についても、改正法施行の5年後に年間960時間(=月平均平均80時間以内)の上限規制を適用することになりました。

 

 トラック会社は、罰則付き規則となると、これを遵守しなければならなくなります。今まで、この運送業界がいかに賃金が安く、そして労働時間が長かったことがわかります。これでは現代の若者はこのような業界に就職することを好まないので、トラックのドライバーが高齢化してしまいました。それでこの状況を打破するために、お国が「働き方改革実行計画」を打ち上げたのでしょう。

 

 悪劣な労働環境が改善されることは素晴らしいことだと思います。一方で、この急な運賃の値上げに対して、企業はどのように対応していくのか、ここにも何らかの策があります。この策については、またお話します。