物流戦略顧問

化学品 危険物の 「コスト削減請負人」が公開する 海外/国内ロジスティクスを失敗しない秘訣

台風21号のダメージから1か月、現在も大変作業が続いている!

 9月4日、近畿地方に非常に大きな勢力を持った台風21号が、上陸しました。

 

 関西国際空港を繋ぐ連絡橋にタンカーがぶつかり、自動車専用道路がずれてしまいました。また、鉄道の線路も損傷してしまい、関西国際空港への全ての連絡網が不通となりました。そのために、関西国際空港では、大勢の利用客が空港内に取り残されてしまいました。関西国際第1ターミナルは、ほぼ全域冠水でした。皆さんもテレビのニュースで、何度かそんな光景をご覧になられたことと思います。

 

 神戸六甲アイランド 国際コンテナターミナルのRC2では、コンテナの中のマグネシウムで火災が発生しました。マグネシウムには水をかけることができず、燃え尽きるまで待つしない状態が続きました。なぜならば、マグネシウムは水をかけると化学反応を起こして、爆発する可能性があるからです。

 

f:id:logiconjapan:20181007132817j:plain

 

 それから、約1か月が過ぎました。

 

 ようやく、関西国際空港や神戸六甲アイランド国際ターミナルからコンテナの引き取りが可能となり、1か月過ぎて浸水したコンテナを開けることになります。

 

 コンテナヤードに置かれていた状況にも依りますが、コンテナヤードで1番下に置かれていたコンテナは約1メートル浸水していました。商品によっては、カビが生えているものもあります。

 

 今回の浸水のダメージは一番の問題は普通の雨水ではなく、「海水」であることです。商品に塩分が含まれるいると、使えなくモノがたくさんあります。本当に水分だけなのか、塩分が含まれた海水のダメージなのか、判断が非常に難しいです。

 

 そんな時には、サーベイヤー(検査員)の方は「硝酸銀」を持っています。濡れた箇所に「硝酸銀」を垂らすと、塩分を含んでいるならば、白く反応するのです。

 

 商品にダメージがあった場合は、保険会社に貨物保険を請求するために、次の通り必要な書類を準備してください。

 

* 保険証券のコピー

* B/L(船荷証券)または エアーウェイビル(航空運送状)のコピー

* インボイス

* 船会社へのクレームノティス(クレーム通知書)のコピー

* 事故報告書(フォワーダからの入庫報告書、写真など)

* 保険料請求の明細書、見積書など。

* SDS (安全データシート)サーベイヤーに商品の説明をする時に必要となります

* EIR (イーアイアール)コンテナをCYから/に搬出入する時に、ターミナルオペレーターが、コンテナの外観状態を確認する受渡証のことです。コンテナの搬出入時に異常が発見されれば、その内容がEIRに記載されています。

 

 

 現場の立会い検査には、保険会社から派遣されてサーベイヤー(検査員)が来られ、ダメージ状況を確認します。今回の神戸六甲アイランドの国際ターミナルでのダメージの検査では、船会社から派遣されてきたサーベイヤー(検査員)も立会に来られました。

 

 サーベイヤー(検査員)の見解は、荷主が思うように「全損」となかなか判断してくれません。海水に浸かっていない部分があれば、まだ使えるのではないか、安くして売れませんか、再利用できませんかなど、極力費用を抑えるように働きかけます。荷主も海水に浸かっており、使用できないということを証明をしなければなりません。

 

 荷主も極力サーベイヤー(検査員)に協力しますが、海水に浸かってまだ湿っている商品をならまだ説明することは可能ですが、すでに乾いている商品の場合にはダメージを被った商品であることを明確にするために品質分析して”使えない”と証明する必要があるのです。分析するにしても、商品を動かすにも、保険会社かサーベイヤーと確認しながら、事を進めていきます。

 

 神戸ですでに5か所で調査に立ち会ってきましたが、今週もまだまだ続きそうです。

 

 

 ロジスティクスを理解することで、皆さんの悩みが解決することができれば、嬉しいです。