税関の事後調査 貿易を知らないと怖いことになる
輸入業者は通常5年ごとに税関から「輸入事後調査」を受けることになります。
「輸入事後調査」とは、税関職員(2-3名)が実際に輸入者の事業所を訪問して、
過去5年にさかのぼって、輸入関係の帳簿・書類を調査します。税関は通関履歴を保存していますので、事後調査の前には税関職員はその事業者の輸入履歴は全て把握しています。
この「事後調査」の目的とは、輸入された貨物の課税標準、又は納付すべき税額の確認です。そして、調査対象となる税目は輸入された貨物の関税と内国消費税です。
そして、税関職員が調査する対象の帳簿・書類は下記の通りです。
1.関税関係帳簿:
輸入の許可書と通関関係書類で代用できます。
2. 通関関係書類:
輸入の許可を受けた貨物の仕様書、運賃明細書、保険料の明細書、包装明細書等です。
3.輸入の許可を受けた貨物の価格表(プライスリスト)
4. 輸入の許可を受けた貨物の製造者又は売渡人の作成した仕出人との間の取引についての書類:
メーカーズインボイス等です。
5. 総勘定元帳、補助台帳、補助簿 振替伝票、決済書類等の経理関係書類、法人税確定申告書、消費税確定申告書
6. 発注関係書類、契約書、往復文書等の貿易関係書類
7. 電子メール等の取引情報に係る電磁的記録
8. 会社概要, 会社組織図、稟議書
税関職員から書類の不備でとして、指摘されること多いケースには、通関関係書類の中で特に国際宅配便の輸入許可通知書です。サンプルなどは国際宅配便(FedEx, DHL など)が使用されますが、その輸入許可通知書を保存していないことが多いです。なぜなら、国際宅配便の業者には依頼しないと送ってくれないことが多いからです
サンプルであろうと、基本的には全ての輸入貨物には、通関時に輸入許可通知書が発行されます。税関は、全ての内容が記載されている輸入許可通知書の保存を義務づけています。
そして、サンプルについては申告価格が不適正と指摘されることが多いです。無償サンプルであるからといって、申告価格を0(ゼロ)円とか1円とかにすると、これは不適正な価格とされます。
これは、いわゆるアンダーバリュー(関税を払いたくないために、安い価格で申告すること)で脱税をしていることになります。
不適正な申告が見つかると、それは脱税に繋がり、膨大な金額のペナルティを支払うことになります。申告価格は常に価格表と一致すべき価格であり、申告価格の通りに売主に支払いが行われていることが必須です。
書類は輸入許可通知書まできちんと保存して下さい。帳簿は7年間、書類は5年間(輸入許可日の翌日から起算)が保存期間です。
ロジスティクスには貿易の知識も必須です。
ロジスティクスを理解することで、皆さんの悩みが解決でことができれば嬉しいです。
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